「ちゃん、ちゃん。今日の数学の宿題見せて?」
「ジロちゃんはまた寝てたんでしょう?そろそろちゃんとやらなきゃ!また跡部くんに怒られちゃうよ?」
「んー・・・。でも、眠いんだよね。」
「じゃあ、もっともっと大きくなるね。ハイ。宿題のノート。」
「いつもゴメンネー?ありがとう!」
隣の席のジロちゃんこと芥川 慈郎くんはいっつも寝ています。
彼が授業中に起きているのを、私はあんまり見てません・・・。体育のときでも寝ぼけているみたい。
そして、いつも跡部くんに怒られてしまうのです。
きっとジロちゃんはやればできる子なのになぁ・・・。もったいない!
隣の席のちゃんこと ちゃんはいっつも真面目。
ちゃんが授業中に寝てるって言葉を聞いたことなんてないC。苦手な体育のときも一生懸命らC。
そして、いつも友達に連れていかれちゃうんだ。
きっと俺と喋ってたほうが楽Cのになぁ・・・。もったいない!
「ちゃん、ノートありがとう。」
「どういたしまして。ジロちゃんはやればできる子なんだから、ちゃんとやらなきゃもったいないよ?」
「頑張ってみるC−。ちゃんはさ、何でいつもそんなに頑張れるの?」
「なんでだろうね・・・?もったいないんじゃないのかな。きっと。」
「もったいない・・・?」
「勉強だってよく考えれば今しかできないことでしょ?だから、しっかりやりたいなー・・・って。」
「でも、さ。たまには息抜きしてもEと思うよ?」
「へ・・・?わっ・・・!」
ジロちゃんはそう言ったかと思うと私の手を引っ張って教室を出て行きます。
もうすぐチャイム鳴っちゃうよ?
きっと、そんなに頑張りすぎちゃってもあんまり良くないと思うんだよね。
もうすぐチャイムは鳴っちゃうけど、たまにはEよ!
「ねぇ、ジロちゃん。どこに行くの?授業始まってるよ?」
「んー?屋上だよー。」
「屋上・・・?」
屋上に出ると、空が近かったです。
今日は良い気。ジロちゃんにとっては絶好のお昼ね日和かな?
「ちゃん。俺の悩み事聞いて欲Cんだけど、良い?」
「私で良いなら。どうしたの?」
私達は適当に座って他愛のない話をしていました。
すると、突然ジロちゃんが話題をかえまる。
ちょっと寂しそうな表情・・・。いつも明るいジロちゃんからはちょっと想像できない・・・。
「俺、好きな子がいるんだー。その子は何事も一生懸命で。多分、そこに惚れたんだと思うなぁ。」
「そう、なんだ。」
「その子は人気者でね、俺が喋ろうとしても友達に連れて行かれちゃって。」
なんだろう。
すごく苦しい。胸がキューッと締め付けられる感じがします。
あぁ・・・この感じは、恋。
気づいた瞬間に失恋なんて、ツイてないですね。
「ちゃん。気づいてた?俺、いつもわざと宿題やってこなかったんだ。」
「え・・・?」
「そうすればね、いつもその子がノートを貸してくれるんだ。」
「・・・その子の名前、 ちゃんって言うんだけど、どうしたらEかなぁ??」
涙が出てくる。
苦しいんじゃないんです。嬉しいんです。
きっとずっと前からジロちゃんのこと好きだったんですね。
最初はただのクラスメイトだったのに。簡単に彼に奪われた、私の心。
「ジロちゃん・・・。」
「どーしたの?」
「す、き・・・です。」
そうしたら、ジロちゃんは、ちょっとビックリしたような顔をしたあとに、
「俺も。ちゃんのこと、すごい好きだC!!」
って言ってくれました。
その時のジロちゃんの笑顔は、彼の金色の髪よりもキラキラ輝いて見えました。
最初はただのクラスメイト