ちゃーん!!今日もかわええなぁ!!」

「・・・忍足くん。毎日言うと説得力を失う、って何回言ったらわかるの?そもそも私は・・・って聞いてる?」

「うん、メッチャ聞いとる。だって、ちゃんから話してくれるんって珍しいやん。」


何で忍足くんは私なんかに付きまとってくるんだろう。しかも、私は忍足くんが苦手、というより嫌い。本当、何で私みたいに、地味で暗い子にかまってくるのかがわからない。勉強は自分で言うのもなんだけど、できるほう。それだけ。でも、忍足くんだって頭は良い。
あぁ、もう。私に構って来ないで。


「なぁ、侑士ー。侑士は何でのこと好きなわけ?」

「んー・・・何でやろなぁ。何か惹かれんねん。」

「わっかんねーなぁ。まぁ、髪はめちゃくちゃキレイだとは思うけどな。あと、クール。」

「何や岳人。自分もメッチャちゃん見てはるやん。」

「別に・・・?だって侑士がいつも言ってるからさー?」

「まぁ、そうやけどなぁ・・・。あ。ちゃんや!!ちゃーん!!!」


本当三階から運動場まで叫んでこないでよ。周りの視線も痛いんだから。今回はテストの成績も悪かったし・・・。本当に最悪。これも全部忍足くんのせいなんだから。何で、忍足くんがモテるの?何で忍足くんは私が好きなの?周りにかわいい子ならいっぱいいるじゃない。何で、私なの・・・?


「・・・!!ちゃん!?」

「オイ、侑士!!どこ行くんだよ!?」

ちゃんが倒れた・・・!!」



















・・・温かい。あれ、私、どうしたんだっけ?体育の時間だったはず。あぁ・・・そっか、私倒れたんだ。頭の中がぐちゃぐちゃ。心の中もぐちゃぐちゃだ。自分がどうしたいのかわからない・・・。頭も心もいろんな感情が混ざり合って、不完全燃焼を起こしてるみたい。
何なんだろう、この気持ち、は。


「・・・ちゃん?」

「おし、たり・・・くん?」

「良かった・・・。ずっと目ぇ覚まさんだでどうしようかと思ったわぁ。」

「・・・ごめんなさい。ありがとう。」

「なぁ、ちゃん。何かあったん・・・?俺で良ければ話聞くで?」

「わかんないの・・・。もう、わかんないの!!何で忍足くんは私なんかを好きになったの・・・!?」

ちゃんやからや。俺は、ちゃんがちゃんやから好きなんや。」

「もう、意味がわからない・・・!!全部、忍足くんのせいだから・・・!!成績は下がるし周りからの視線は痛いし・・・!!だから、忍足くんがいっつも、どこにいるか気になって、だけど見つけたくなかった・・・!!もう、自分がわかんない!!」

「泣かんといて。もう、大丈夫やから。俺、それ聞いてメッチャ嬉しかったんやけど。」

「・・・何、でよ。」

「それ、さ。ちゃんも俺のこと好き、ってことやで?」

「っ・・・そんなこと、な・・・・・・・い・・・・・・。」


一瞬、何が起きたか頭が理解するのにかなりの時間を要した気がした。腕を引っ張られて、トンッて軽い衝撃を感じた。それから、視界が暗くなって、フワッと忍足くんの香りがした。・・・=抱きしめられた・・・!?


「ホラ、メッチャドキドキ言ってるやん。」

「は、なして。」

「離さんよ。ちゃんが俺をスキって認めるまで。」


心のぐちゃぐちゃが嘘のように晴れていった。


「・・・認めたくないけど、認めてあげる。」

「アカン、ちゃんメッチャかわええ。」