「オイ、。・・・!」

「・・・何。」

「ったく、お前は何を拗ねてやがんだ?アーン?」

「は?拗ねてないし。じゃあね、バカべ。」

「オイ、バカ!待て!」


何よ、どうせ私はバカよ。常に学年1位の跡部景吾はバカなんて言われないでしょーね。私は勉強は普通くらいにしかできないし?運動だってバスケしかできないし、それ以外は並だし?何でもできちゃう跡部には理解できないでしょうよ。
なのに、何で跡部は私なんかと恋人やってるんだろうね?跡部は何で私なんかが好きなわけ?さっきだってファンの子にキャーキャー言われてたし、毎日毎日告白ラッシュだもんね?うちの学校の女子ってこんなに人数いたっけ?ってくらい。
いくら『彼女』っていう立場でも、そんなの毎日なんて耐えられない。最初はファンの子にイジメられた。覚悟はしてた。それに跡部が助けてくれたから乗り越えれた。だけど、昔も今も『友達』から変わってない。


「ふっ・・・っ・・・!!あー・・・もー・・・泣かない。泣かないもん・・・。」


グッと唇を噛み締めてバッと真上を向く。私の気持ちとは裏腹に空はキレイな快晴だった。私の頭の中では豪雨なのにね。こんな天気にもこんな気持ちにも、完璧すぎる跡部にも。・・・そして、何より自分が嫌になった。


「屋上行こう・・・。」


今の時間は確か数学だったなぁ・・・と思いつつも屋上へ足を運び、ドアを開ける。ギィっと音が鳴って、目の前には憎憎しいくらいキレイな青空が広がった。


「・・・毎日毎日彼氏が告白されるシーンなんて見たくないし・・・。」


私ってこんなに独占欲が強かったんだって実感した。でも・・・多分、私だけじゃないよね?断ってくれるって分かっていても、不安、なんだよ。普段言葉にはしない・・・というか、できないだけなんだけどずっと不安だった。もし跡部が揺らいだら?もしOKしてしまったら?可能性なんて0じゃない。素直になれない私より、素直でかわいい子の方が跡部には合っている。
付き合って2ヶ月なのに、未だに苗字で呼び合ってるのだって本当は嫌。名前で呼んで欲しいし『景吾』って呼びたい。


「跡部のバカー・・・!」

の思ってることさ、全部あとべに言ってみたら?」


突然の声にビックリして、飛び起きる。するとそこには今まで寝ていたらしいジローがいた。太陽に照らされて、彼の金髪は眩しかった。今の私にはちょっとキツイかな。


「私の、思ってること・・・?」

「うん。あとべさー、勘とかは鋭いけど、との恋愛にはかなり鈍いC。」

「跡部、私のこと嫌いじゃない?」

「うん。あとべはのことがだーい好きだよ。」

「本当に・・・?絶対に・・・?」

「俺、嘘は言わないC。」

「うー・・・ジロー!!」


ジローの言葉に、優しさに・・・思わず抱きついた。もちろん、恋愛感情とかは一切なしで友情・・・っていうのかな?とりあえず思いっきり泣きたかったんだ。ジローは泣きじゃくる私を大丈夫だC。あとべはちゃんと聞いてくれるから。といって私の頭をずっと撫でてくれていた。


「おい、。何他の男に抱きついてんだよ。アーン?」


それは一番好きな声。一番聞きたかった声。私の耳にすんなりと入ってくるんだ。


「あ、とべ。」

「普段見せねぇ泣き顔、ジローに見せやがって。」

「だっ・・・て・・跡部が・・・!!」

「ほら、こっち来い。全部聞いてやる。」

「ほら、行っておいで。俺は別の場所で寝てくるC。」

「うん・・・!ありがと、ジロー。あ、ゴメンね、制服濡らしちゃった。」


ジローの元を離れると、ジローはフワッと天使のような笑顔を見せて、屋上を出て行った。本当にありがとう。


「あのね、跡部。」


そう言いかけると、跡部は初めて、私を抱きしめてくれた。跡部の香水の匂いが私の鼻を掠める。細く見えるのに意外と筋肉質なんだ。とか、骨ばってるんだ。とか一瞬のうちに恥ずかしくなった。
見上げると、跡部は顔が赤かった。私だけじゃないのかな・・・?


「バーカ・・・。見てんじゃねぇよ。」

「跡部、顔赤い。」

「うっせぇ。ほら、言えよ。全部聞いてやるから。」

「・・・跡部が毎日告白されるのを見るのが嫌だったの。キャーキャー言われるのが嫌だったの。私・・・そういうの言わないから、言えないから・・・跡部が愛想尽かすんじゃないか、って・・・もっとかわいい子だっていっぱいいるし・・・。もう、付き合って2ヶ月なのに未だに苗字で呼び合ってるし・・・。」

。」

「跡部・・・?」

「バカ、上向くな・・・!」

「ぶっ・・・!」


上を向こうとしたら強く抱きしめられて、ちょっと苦しかった。あ、頭打った・・・。でも、それよりも『』って名前で呼んでくれたことが嬉しくて、自然と顔がニヤける。


「悪かった、な。お前が・・・が何にも言わねぇから・・・甘えていたのかもしれねぇ。その・・・お前の気持ちをわかってやれなかったし・・・。」

「ありがとう・・・。跡部。」

「景吾だ。」


上向くなって言ったくせに・・・!!上向くなって言ったのにキ、キスした・・・!!!いきなりすぎるって・・・。


「上・・・向くなって言った・・のに。」

「俺が向かせるのは良いんだよ。」

「俺様ー・・・。」

「・・・以外からの告白はいらねぇんだよ。ギャーギャー言ってたって、俺には関係ねぇ。がいるんだからな。」

「景吾・・・。」

「それに、俺は素直じゃねぇお前に惚れたんだ。信じらんねぇなら何度でも言ってやるよ。」


























「好きだ、。・・・愛してる。素直じゃねぇところも。全部、な。」



























「うん、私も好き。俺様なところも。完璧なところも全部全部。景吾だから好き。」