「慣れないなぁ・・・。沖縄。良いとこなんだけど。」


私が沖縄の比嘉中に転校してきて早いものでもう1ヶ月。
私は未だに沖縄での生活に慣れずにいた。
沖縄は良いところだと思うし、人もみんな優しい。
何でだろう・・・?


「ぬーやが、やーまだ残ってたんか?」

「あ、平古場くん。」

「あー・・・わんの言ったこと、通じたか?」

「へ?あ、あぁ・・・えっと、わかんない・・・。ゴメンなさい。」

「まぁ良いけど。お前、まだ残ってたんだな。って。」

「うん・・・。まだ、慣れないなぁ、って思って。」

「沖縄に?」

「うん。良いところだって思ってるんだけど・・・。」

「それは、やーの悩むとこじゃないやっしー。」


ほら、やっぱり優しい。
何だか自分に罪悪感が湧いてきた。沖縄の言葉もまだまだわかんない。
一人だけ標準語ってすごい浮いてると思う。いや、浮いてる。


「やー・・・さっきから何一人で百面相しとるんばぁ?」

「え!?私そんなに変な顔してた!?」

「まぁ・・・。」


は、恥ずかしい・・・!
まさか好きな人に変な顔見せるなんて・・・!
そう、私は平古場くんのことが好きなのだ。
俗に言う一目ぼれってヤツで。
転校初日、きれいな金髪だ、って思って平古場くんを見ていたら、目がバチッと合った。逸らせないでいると、平古場くんは私にニコッと笑ってくれた。その笑い方が本当にキレイで。気づけばそれから平古場くんでいっぱいだった。


「あ・・・!?」

「どうしたの?」

「裕次郎!」

「おう、凛!ちばれよ!」

「・・・うっせー!」

「えぇ!そんなにちれんけー!」

「きっと上手くいきますよ。では、甲斐くん。我々は帰りましょう。さん、平古場くんを頼みますよ」

「だな!んじゃーびら!」


そう言って甲斐くんと木手くんは帰って行った。
残ったのは、平古場くんと私だけ。


「あぁー・・・。その、よぉ。」

「うん?」

「やー・・・好きな奴とかいるんばぁ?」

「え、あぁー・・・」

「わんは、やーのことがしちゅんどー。」

「え?」

「え?あぁ。だから、俺はのことが好きなんだよ・・・!」

「ひら、こ、ばくん・・・?」

「しちゅんばぁよ・・・やーのこと。一目惚れってやつ。」

「あの、ね。私も平古場くんのこと好きなんだ。」

「マジ・・・!?」

「うん!私も一目惚れだったの!あの・・・覚えてるかな?」

「あぁー・・・。やーが転校してきた日やっしー。」


多分、合ってるんだろうけど・・・
沖縄弁ってわかんない・・・!!べ、勉強しよう・・・!


「わんもそん時にやーに惚れた。、付き合ってくれ。」

「私なんかでよければ・・・!」

「にふぇーでーびる。」


に、にふぇーでーびる?って言って平古場くんはまたあの笑顔を見せてくれた。
言葉なんかわからなくたって良い、って思えた。
私は平古場くんが好きなんだから。それだけで良いんじゃないか、って。


「ありがとう、ってことだよ。」

「ありがとう、ってにふぇーでーびるって言うんだ・・・!」

「また教えてやるさー。」

「うん!よろしくね、平古場くん!」

「凛で良い。わんもて呼ぶから。」






「平古場くん。なかなかでしたよ。」

「え、永四郎!?」

「大胆やっさー!ちばったなぁ、凛!」

「裕次郎!?」

「わ、みんな居たんだ・・・。」


何か、二人だと思ってたから普通に好きとか言っちゃったよ・・・!
恥ずかしくなってきた・・・


、ひんぎるさー!」


そう言って凛は私の手をひいて、教室から逃げ出した。
てことは、ひんぎる、は逃げるってことかな?


「ねぇ、ひんぎるって逃げるってこと?」


走りながら聞くと、凛は「正解」と言ってキスをひとつ。


「凛・・・!?」

「こっちの方が効率よく覚えれるやっしー。」






これから